阪急梅田駅から電車に乗って、ひと駅。
「黄色い線の内側でお待ち下さい」のアナウンスにとまどうほど、狭いホーム。
改札を抜け西出口の階段を降りると、梅田の喧騒がふっと遠のく。
その隙間に、近くで道路を削る重機の音が響いている。
阪急電車とJR線、そして能勢街道で区切られた地域が「中津3丁目」。



この一帯は、太平洋戦争の空襲を免れて焼け残ったため、戦後の区画整理が遅れた地域。
細い路地に長屋が連なる。時間の流れが、ここだけ違う。
その静けさはどこか、息をひそめているようにも感じる。


駅前の中津中央公園を抜けた先に見えるのが、年季の入ったアーケード。
週末になると、若い人の姿が増える。
長屋を改装したカフェ、路地裏の秘密基地のような店。
ノスタルジーというのは、知らない時代のものでも人を引き寄せるエネルギーがあるらしい。





時を忘れたようなこの街も、実は少しづつ変化している。
住人がいなくなった長屋は取り壊され、マンションに建て替えられようとしている。
駅の南側では工事の音がひっきりなしで聞こえる。
梅田の再開発は、すぐそこまで来ている。


ノスタルジーと変化の間に挟まれた一角がこの街だ。
近い将来、きっとこの街は大きく変わる。
いつまでもこの景色が続くとは思えない。
写真では伝わらない、この街の変化の前の「静けさ」を感じに、まちあるきをしてみてほしい。

【アクセス】
阪急神戸線・宝塚線「中津駅」下車すぐ


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